10.「イラストに命を宿す3Dプリンター」hassegawaさん

2015/02/06
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ファンタジーとテクノロジー。相反する世界観が出会う時、3Dプリンターは一つのバイオロジーを記すように、生命力に満ちた作品群を生み出す。hassegawaさんの3Dプリント活動は、キャラクターデザイナー・吉井宏さんの、活き活きとしたrinkak作品群に触発されてスタートした。hassegawaさんは、好きなクトゥルー神話をモチーフにキャラクターを作っていく。その造形のインスピレーションは、意外にも「料理」から得ていた。



■hassegawaさんのサイトにはイラスト作品がたくさん掲載されています。創作をスタートしたのはいつからですか?

hassegawaさん(以下H):小学生の頃からですね。自分以外の誰かに向けて、何かを描いたり作ったりしていました。仕事として創作をスタートしたのは大学生の頃。Webで活動を始めたのもその頃からです。普段は2D、3D、アナログ、CG問わず、画像素材などの創作をしています。


© manabu hassegawa 2005.


■イラストレーションを手がけるようになったキッカケは?

H:一番最初は、従姉がノートに漫画を描いて遊んでいたことを真似ました。CGに関しては、キャラクターデザインを多く手がけている寺田克也さんの記事を美術雑誌で見たことがキッカケです。

ペイントツール「Painter」の使い方を紹介する記事でした。その記事でPainterとWacomのペンタブレットを見て、「パソコンでも“絵っぽい絵”を描けるんだ」ということを知り、触発されました。


© manabu hassegawa 2005.


■その後、3DCGを手がけるようになったわけですね。

H:キャラクターデザイナーの吉井宏さんがrinkakに出品している作品群を見て、3Dプリンターの出力に触発されたんです。

吉井さんの作風は、3Dプリンターで出力される以前からグッズやプロダクトとして、まるでそこにあるかのような雰囲気が好きでした。それが3Dプリントされたわけで、そのまま形になって出てくる感じにとても魅力を感じました。

ぼくにはまだあそこまでキャラクターデザイン自体を練り込める胆力はありませんが、冗談や即物的な欲求にもっと訴えていけるように創作してきたいです。



■なるほど。だからクトゥルー神話をモチーフにした「手のひらに チョコンとのっかる クトゥルーさん」を出品なさっているんですね。今後もクトゥルー神話に関連した作品を創作しますか?


H:はい。引き続き、クトゥルー神話のキャラクターを創作したいです。

また、完全オリジナルのキャラクターフィギュアもデータを用意し始めています。シルバーや陶器の出力にも興味があるので、食器を作ってみたりもしたいですね。いろいろやりたいことがあって、次は何から手をつけるかまだ決めかねています。


■創作のインスピレーションは何から得ていますか?

H:自然物、人工物、さまざまな物から得ていますが、やはり生き物からインスピレーションを得ることがダントツに多いです。

クトゥルー神話の水っぽいキャラクターを造形する際は、「美味しそう」を心がけていますね。魚介料理からインスピレーションを得ているんです。



■料理ですか! 和? 洋?

H:和食は素材そのものの形が残っている物が多いので、和食からの想起が多いかもしれません。ただ、食材の形は洋食のほうがモンスターじみていて魅力を感じます。甲殻類の形なんて、洋食のほうが明らかに凶悪に見えますし。普段の生活ではなかなか洋食に触れることが少ないんですけどね。

「手のひらに チョコンとのっかる クトゥルーさん」であれば、イカのような口元を「ホタルイカの沖漬け」を思い出しながら創作しました。



「手のひらに チョコンとのっかる クトゥルーさん」。
確かに・・・ちょっと美味しそうなフォルムですね◎




■3Dプリンター向けに造形する際、気をつけていることは?

H:3Dモデリングの際、3Dプリンターが苦手とする形状は避けるようになってきたかなと思います。2Dに比べると、3Dのほうが工夫や細工を要しない気がしますね。





■2Dのイラストレーションから3Dプリンターに置き換わって、一番の魅力だと感じることは?

H:手に取れる事。これに尽きます。
今までは、アニメーションさせるわけじゃないのであればやる必要がないと思っていましたが、3Dプリンターが出てきたことで「3DCGをちゃんとやろう」と思うようになりました。


■お使いの3Dモデリングソフトを教えてください。

H:Hexagon2.5です。基本的に無料だったので、造形に必要な機能が少ないのですが、手に馴染んでしまって少し困っています。


■最後に、どんな価値をユーザーに届ける作品を生み出していきたいか教えてください。

H:観る人の肩の力が抜けるような作品を心がけていきたいです。手元に置いて、毎日目に入っても疲れない物。シンプルに「これ、いいでしょう?」と言えるような物ですね。







CREATOR PROFILE


hassegawa

2D or 3D、アナログ or デジタル。どちらも問わず幅広い領域で、イラストレーションをはじめとした画像素材を手がける。自身のサイトでは作品紹介だけでなく、オリジナルTシャツ等の販売も行う。
URL:http://hassegawa.zombie.jp/
http://scfa.tumblr.com/
★hassegawaさんのrinkakショップはこちら


INTEVIEWER


新井 優佑(あらい・ゆうすけ)

インタビュアー。7年の出版社勤務を経て、独立。町工場を取材する中、日本の零細企業や小規模事業者の創意工夫には、仕事を豊かにする根源的なリソースが満ちていることを実感。手仕事からFabまで、作家の試行錯誤を追う。趣味・インタビュー、特技・インタビュー。
Twitter・ar1ys1c、Facebook・arai1983

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