12.「3Dプリンターに作家の個性を込める術」hisashiIMAIさん

2015/03/06
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アナログ作品の魅力は、作家の手癖が反映すること。意識しない個性が手づくりによって作品の魅力を一段引き上げる。rinkakに「EyeWear」を出品するhisashiIMAIさんは、そんな手づくりの魅力をデジタルデータに意図的に取り込む作家だ。3Dスキャナを活用してモデリングされたデータに、あえて、アナログ感のあるテクスチャを加えていく。アナログとデジタルの利点を掛け合わせた創作活動にいたった敬意を語ってもらった。





■創作活動をはじめたキッカケは?


hisashiIMAIさん(以下H):幼い頃、親がデザイン事務所を経営しており、物を作ることに慣れ親しんでいました。それもあってか、一番好きな科目は図画工作だったんですね。

特に高校時代は、運動会の応援パネルを作成することになって、私のクラスはねぶたのような半立体のパネルを作成しました。厚紙で試作を重ねながら、設計図を作り、クラス全員で完成させました。



若かりし青春を感じる一枚。眩しいですね!


■手づくりの際も立体物を作っていたんですね。3Dプリンターに取り組むのも必然の流れ、でしたか?


H:rinkakには3Dスキャナーを使った作品を出品しているのですが、学生時代に3Dスキャナーを使うプロジェクト「Nearly Equal One」に参加したことが大きいです。学内に設置されていた3Dスキャナーを活用して作品づくりを行いました。

まず、「BertSimons」のようなペーパーポートレートを参加者が作り、それを3Dスキャナで測定し、出力して、ブログに公開するまでの過程を体験して、その後、各自が自分のバックグラウンドに沿った作品を制作しました。







■hisashiIMAIさんが創作した作品は?


H:ペーパークラフトの熊と、椅子です。大学時代は、ポリクラフトで出力していました。アナログな手法のため、意図せぬノイズが混じり、デジタルとアナログの中間のような表現ができて、とても興味深い作品になりました。今も、デジタルとアナログの利点を活かした創作を行っています。








■rinkakに出品なさっている作品「EyeWear」にもデジタルとアナログの利点は活かされていますか?


H:デジタルの利点は正確な形状を再現することができるところ、アナログの利点は作り手のクセを作品に込めることができるところだと思っています。すべてデジタルで仕上げてしまうと既製品のような雰囲気になってしまうので、スキャン時にポリゴン調整をして、模様にしました。



「EyeWear」は先ほどのプロジェクト「Nearly Equal One」に参加した時の計測データを元に作成しました。3Dスキャナーを使用すれば、一人ひとりの身体形状に合わせてカスタマイズすることが可能です。


■創作のインスピレーションを得るポイントは?


H:ハロウィンや年始のイベントですね。イベントに参加する方から、作ってほしいと頼まれることが多いんです。突発的なリクエストに対しても、瞬時に回答できることは3Dツールやサービスが充実してきたおかげだと思っています。

私自身も3Dプリンターを所有しているんですよ。「MakerBot Replicator Dual」と「Rostock Max」を購入しました。




■3Dプリンターの所有者でありながら、rinkakを活用するメリットはありますか?


H:まず、所有している3Dプリンターでは、作成できない形状があります。また、粒体造形で、肉厚が多少薄くても綺麗に出力されることは助かりますね。

販売を想定した場合、3Dプリンターで出力した物を販売するよりも、データとして販売し、出力はサービスに任せるほうが安心感がありますし、個人所有ではなかなかまかない切れない最適なメンテナンスもrinkakでは期待できます。


■制作環境について教えてください。


H:「CATIA V5」と「Rhinoceros5」を使っています。「Rinoceros5」はトラックパッド操作に最適化されているため、データ作成時の姿勢にとらわれず、とても重宝しています。

ふだんは自動車や家電、化粧品などのデザインモデリングを担当しているのですが、仕事では「CATIA」を活用しており、複雑な造形、量産前提のデータ作成にはこちらが欠かせないですね。

今後は福祉用具やペット用品のような優しい物を作っていきたいと思っています。







CREATOR PROFILE

hisashiIMAI


技術職。主に自動車、家電、化粧品などのデザインモデリングを行う。rinkakには3Dスキャナーを活用した作品「EyeWear」や猫用ヘルメット「cat_helmet_type_sheep」などを出品。イベントやパーティーなど、ハレの日に思わず持参したくなる作品を手がけている。



★hisashiIMAIさんのrinkakショップはこちら


INTEVIEWER


新井 優佑(あらい・ゆうすけ)

インタビュアー。7年の出版社勤務を経て、独立。町工場を取材する中、日本の零細企業や小規模事業者の創意工夫には、仕事を豊かにする根源的なリソースが満ちていることを実感。手仕事からFabまで、作家の試行錯誤を追う。趣味・インタビュー、特技・インタビュー。
Twitter・ar1ys1c、Facebook・arai1983

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