20.「多面体が生む陰影の宇宙」鈴木 宏明さん

2015/08/28
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rinkak「3D PRINTING DESIGN CONTEST」にて、Stratasys Awardを受賞した鈴木 宏明さん。ご自身で「手先が不器用」と言う彼は、多面体を駆使した花器「dodecahedrons」を創造し、審査員から「陰影に魅力がある」と好評を得た。幾何学的に同じ造形を組み合わせることで付加価値として光の魅力を帯びた作品を生み出すクリエイターの創作の心得、そして3Dプリントを使うにいたった経緯を聞く。




■3D PRINTING DESIGN CONTESTのStratasys Awardの受賞おめでとうございます! 受賞作「dodecahedrons」をはじめ、鈴木宏明(rinkakネーム: hrak02) さんの出品作はどれも花器ですね。花器を3Dプリント作品として作ろうと思った動機は?


鈴木 宏明さん(以下H):ありがとうございます。rinkakに出品すること自体が初めてだったので何を作ろうか悩んだのですが、いろいろモデリングをしていたところ、無機質な造形と植物との対比を面白く感じたため、花器として完成させました。



■審査結果では「陰影」が評価されました。デザインする上で「光と影」についてこだわった点は?

H:今回の「dodecahedrons」については正十二面体を積み上げただけの形状なので、一つ一つの大きさや面の向きをランダムに見せられるよう調整し、全体のバランスを意識してデザインしました。また、開口する面の配置を工夫し、花を生けたとき美しく見えるようデザインしました。
『光と影』を特に意識した訳ではないですが、バランスを意識した結果として生まれた陰影を評価していただけて嬉しいです。



3D PRINTING DESIGN CONTESTでStratasys Awardを受賞した作品。



■デザインアイデアを得るために、インスピレーションはどこから得ていますか?

H:rinkakに出品している3つの花器については、大学の卒業制作で多面体や幾何学を用いてのデザインを研究していたので、そのとき作った過去の模型を見返しながら形にしました。今回に限らず言えば、旅行中に目についたものから思いついたり、友人との会話の中や家でテレビを見ているときに思いついたり、と様々です。



■hrak02さんの創作活動に、3Dプリンティングが与えた影響は?

H:3Dプリンティングのおかげで、僕のように不器用な人間にも精巧なアウトプットを作ることができるようになりました。またそのためのCADでのモデリングも創作活動をするうえで今では欠かせないスキルです。



■なぜ、3Dプリントを使い始めました?

H:初めて3Dプリンターを使用したのは、在学中の産学共同プロジェクトでした。当時CADの使えなかった僕はCAD操作を覚えるいいタイミングだと思い、参加しました。この産学協同プロジェクトがなければ、3Dプリンターに興味を持つこともなかったので当時の担当教授には感謝しています。





■ソフトは何をお使いですか?

H:ライノセラスを使用しています。大学在学中に先輩から教えてもらったり、図書館からチュートリアル本を借りてきて操作を覚えました。



■使い心地は?

H:他のソフトも少ししか触ったことがありませんし、慣れもあるとは思いますが、ツールのアイコンがわかりやすくて、より直感的に操作できる印象です。



■3Dプリントに移る前の、創作活動をはじめたのは、いつ?

H:18歳で大学のデザインコースに入学したところからはじめました。それまでは特に創作活動をしたことはなく、高校までは建築士を志していました。大学受験で相談した美術の先生に薦められた本がきっかけで、工業デザインに興味をもち、大学でデザインを学び始めました。それからは大学の課題を中心に、学外コンペや展示会にも出展しながらインテリア・車・グラフィックなど様々なジャンルを学びました。







■創作活動における、こだわりは?

H:あまりこだわりは持っていませんが、人が思いつかないような、驚いてもらえるような美しいものを目指して創作しています。また、自分の考えたこと気づいてほしいことが相手に伝わるような紹介を心掛けています。



■これから作りたいものは?

H:住空間について興味があるため、家具や雑貨等のインテリア製品を作っていきたいです。いただいた3Dプリンターもありがたく使用させていただきます。







CREATOR PROFILE

鈴木 宏明 a.k.a hrak02

住宅建材メーカーで生産管理を担当後、独立。フリーランスのデザイナーに。rinkakでは、多面体を組み合わせた花器を手がける。3D PRINTING DESIGN CONTENSTにて「dodecahedrons」でStratasys Awardを受賞。

★鈴木宏明さんのrinkakページはこちら


INTEVIEWER


Yusuke Arai

新井 優佑(あらい・ゆうすけ)
インタビュアー。7年の出版社勤務を経て、独立。町工場を取材する中、日本の零細企業や小規模事業者の創意工夫には、仕事を豊かにする根源的なリソースが満ちていることを実感。手仕事からFabまで、作家の試行錯誤を追う。趣味・インタビュー、特技・インタビュー。
Twitter・ar1ys1c、Facebook・arai1983



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