No.6 「先端技術で挑む、斬新な伝統継承 - 刀×3Dプリンター -」(1/4)

2014/11/13
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日本屈指の職人技とグローバルな視点で道を切り開く。伝統工芸からデジタル技術開発に至るまで、美術に関わることなら何でもワイドレンジに展開し、引き受けてしまうスゴイ会社がある。その名は「スタジオ仕組」。伝統工芸職人や有識者で構成された企画展示が11/16から表参道で始まるが、ここでスタジオ仕組が扱うものはなんと「短刀」。作品は展示だけでなく、販売も行われる。

弊社は縁あって、この企画で3Dプリンター造形による鞘のデザインを担当。今回は、この企画の発起人である河内晋平さんとrinkakチームのプロダクトデザイナー横井康秀さんに、エピソードや今後の展開をお話頂いた。






“本物の斬新さを求めて”


ー rinkakでは、mOment KUMOをはじめとする、3Dプリンター×伝統工芸の研究・開発に力を注いでいますが、そんな折、スタジオ仕組さんの伝統工芸の革命に重点を置いた長期プロジェクト「ORIGAMI」に声を掛けていただくかたちで、トントン拍子に今回の共同開発が実現してしまいました。・・・改めて、ORIGAMIプロジェクトを立ち上げた理由を教えてください。

河内晋平さん(以下 S): 伝統工芸の技術を守るという趣旨ではじめました。僕達が考える「技術を守る」というのは、職人さんの生活を保護するというのもあるんですけど、まず第一は、作品を残すと。文化財を残すと。作品や文化財が残っていれば、技術が一度途絶えてしまっても、のちの職人さんたちや技術保持者によって残っている現物からその技術を解凍することができますからね。故に僕達としてはその「もの」を後世に残したいという意志で始めました。


今回の刀制作を行ったのは河内さんのお父様、河内國平さん。
室町時代以降、再現が絶望視されていた地紋「映り」の技術を
ただ一人再現出来るとされている刀匠だ。


ー なるほど。

S: ・・・で、現代の伝統工芸作家さんであるとか、刀鍛冶が生活出来ないというのは、なかなか需要がない、製品として使い道がない、需要がない中での市場価値で言うと、高価すぎると。その現実的なハードルによって購入者がいなかった。しかしモノの確かさは折り紙つき。そうそう、折り紙(ORIGAMI) というのは、紙を折る折り紙ではなくて、もともと刀には本阿弥家(※1)が刀に「この刀は素晴らしい」「この刀は良くない」という書状をつけ、刀にランクをつけた。その状態を「折り紙付き」というんですよ。


ー それで折り紙つき、、、。からのORIGAMI プロジェクト。

S: あはは!そう。日本語の「あいつは折り紙つきだから信用できる」という言葉も、ここからきてるんですよ。

横井康秀さん(以下Y):その折り紙(書状)はかつて、どのような状態で刀とセットになっていたの?

S: 刀についてるんですよ。説明書や手紙がついてる、というような形です。それは、本阿弥家(※2)が鑑定しましたと。そして良くない刀には札をつけるんですよ。なので、現代でも悪い奴のこと「札付きの悪」といったりしますもんね。

Y:すげえ(笑


ー 何気なく使われている日本語が刀の価値を表すものだったというのは、非常に面白いよね。

スタッフ一同:すげえ(笑

S: 今の現代の刀であるとか漆の伝統工芸品であるとかに新たな価値をつける、という立場を取らせてもらう意味で、我々ORIGAMI プロジェクトがあるんです。

Y&スタッフ一同 :  (こんなに密にやってきたのに)・・・ORIGAMIのこと今始めて知ったわ笑


(※1)本阿弥光悦(ほんあみ・こうえつ)。工芸に対する高い見識眼を持ち、刀剣鑑定に留まらず、工芸家、書家、芸術にと多芸に秀で、江戸時代初期に活躍した。琳派の創始者の一人でもある。

(※2)鎌倉〜南北朝の時代より刀剣の研磨・浄拭(ぬぐい)を家業とし、刀剣の鑑定の道においては最高権威を持っていた京都の名家。

次ページは"刀を販売するということ"






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