No.6 「先端技術で挑む、斬新な伝統継承 - 刀×3Dプリンター -」(3/4)

2014/11/10
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

“文脈としての刀の価値”



Y: さっきの話で「価値がない」という理由で廃棄された刀や文化財は、、、場所が日本でありこの時代だから価値がない・需要がないという判断で決まるの?刀としての本当の価値はどこにあるの?

S: 残していくための価値付はどこで判断しているのか知りたいってことですよね?やっぱり職人の技術がしっかり反映されている質の高い作品は有名無名に関わらず残すべきと僕たちは考えます。でも、一般論で言えば、例えばそれこそ誰々のお城にあった刀や、秀吉が佩刀してた時の刀だとか、今だったら(NHKで放送中の軍師黒田官兵衛)官兵衛が佩刀してたとかですね、黒田家や毛利家に伝わる〜・・・といった歴史的事象と関連づくものだったら、必ず残しますよ。そうではないものは、もう残していかない。「用の美」ですから。消耗品としてみなし、残していかなかったんですね。





ー あくまで時代のインデックスとして残すと。

S: ええ、伝統工芸品を文化財として残していくにも、質の高い作品を見る目も必要ですし、もの凄くアカデミックなところから見ていく目も必要です。例えば、誰々の師匠の何代目かの弟子が作った刀。なかなかいいものは無いけれども、こいつの刀があることで、系譜を辿っていける、だから残そうと。

ー モノを文脈配置して語ることは美術業界に限らずですが、考古資料になりうる美術品や民俗資料に関しては特にその傾向が強いかもしれませんね。

S: つまり、見た目の善し悪しだけで価値を測っているわけじゃなく、ものすごくアカデミックな側面で価値を見出して、保存・伝承に繋げるんです。




ー こうした状況の流れを経て今、刀プロジェクト「SUMISAYA」は非売ではなく販売に重心を置いている。ネガティブなイメージの強い商材を扱うという点で、河内さんの販売ノウハウはどのように活かされているのでしょうか?

S: 確かに刀は武器ではあるので、興味を示されるものの、拒否反応を示されるお客様もいらっしゃいます。そんなときにどう説得するかは、作り手でもあり、販売もして、アカデミックな研究者としても存在している僕らみたいな立場が必要になってくる。(刀剣商もそうですし、職人もそうですけどね。)

Y: うん。

S: よくですね、どこかの会社の社長さんとかが、ご夫婦で旅行がてらうちの実家に日本刀を買いに来られてアテンドしていますとね、特に奥様のほうが「怖い」という印象を受けられるんですね。で、現実的な話になった時、家に置いとくのは嫌だ、と。。。なんかあった時に怖い、と。おっしゃる気持ちもわからないでもないです。でも、よく僕達が笑い話で言うのは、泥棒が入ってきた時に、家の人と鉢合わせてすぐ殺したろう、とか撃退しよ、とか思ったときにとる泥棒の行動って、台所にいって包丁をとるか、そのへんにある棒を使うかです。日本刀探して早くころしたろ!っていう発想にはなりにくいですよね。

Y: 笑。

S: 日本刀が飾ってあっても、それをわざわざ抜いて、何かしてやろう、ってのはそれはもう相当、刀のこと知ってないと、まず出来ないと。実際、刀って、知らないとうまく抜けないですからね笑。

Y: んふふ。例外を除けばそうですね。

S: なので、現生活においては大丈夫です、と。ま、冗談も含めて話をしますね。





次ページは“日本刀は、最後まで抜かないもの”




Posts

21.「介助・支援グッズにグッドデザインを」石橋達男さん


20.「多面体が生む陰影の宇宙」鈴木 宏明さん


Rinkak 3D Printing Design Contest Merit Award受賞者インタビュー Igor Knezevic さん


漆×3Dプリンターのデザインメソッド③ パラボラ


漆×3Dプリンターのデザインメソッド② 秋山かおりさん(STUDIO BYCOLOR)


漆×3Dプリンターのデザインメソッド① 西村拓紀さん


15. ストリートの新境地「3Dグラフィティアート」


14.「”光”を宿す新たな色彩」mattbagさん


13.「宇宙を手元にテレポートさせる3Dプリンターの魔力」quriharaさん


12.「3Dプリンターに作家の個性を込める術」hisashiIMAIさん


11.「ストーリーと3Dプリンターが出会う時、国境はひらく」Maniさん


10.「イラストに命を宿す3Dプリンター」hassegawaさん


09.「3Dプリンターが拓く女性作家の新世界」Watanabe_Kayokoさん


08.「職人技とFabの解け合う未来」jewelephanaさん


07.「無駄を省き、ルアーの本質を形に」kklureさん


No.6 「先端技術で挑む、斬新な伝統継承 - 刀×3Dプリンター -」(1/4)


No.6 「先端技術で挑む、斬新な伝統継承 - 刀×3Dプリンター -」(4/4)


No.6 「先端技術で挑む、斬新な伝統継承 - 刀×3Dプリンター -」(3/4)


No.6 「先端技術で挑む、斬新な伝統継承 - 刀×3Dプリンター -」(2/4)


《Creator's Voice@college特別企画3》『山形の伝統をみつめ、おみやげをつくる』東北芸術工科大学 プロダクトデザイン科


more...