07.「無駄を省き、ルアーの本質を形に」kklureさん

2014/12/26
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趣味と実益が適う時ほど人はハッピーになれる。今回紹介するkklureさんは、まさにこの好運を手にしたクリエイターだ。日頃からブラックバスやトラウト、シーバスといった釣りに興じており、その体験から得たインスピレーションをrinkakでの釣り具製作に活かしている。15の頃よりハンドメイドで作成してきたルアーを3Dプリンターで製作するようになった今、品質改善を円滑に行えるようになり、新たな境地に達したkklureさんの釣り具づくりに迫った。



■ルアー作りをスタートしたのは15歳だそうで。

kklureさん(以下K):当時は、公園などで木を拾い、カッターで削ってヤスリで形を整え、針を付けただけのルアーを作っていました。それから本格的にハンドメイドのルアー作りを始めて、木の素材選びや重りを入れる位置など試行錯誤を積み重ねたんです。素材はバルサなら浮力が増すけれど、ウッドなら丈夫にできる。重りは位置をズラすだけでルアーの動き方が変わる。自分の納得できるルアーを追求していましたね。





■3Dプリンターで作るようになって、変化はありました?

K:ハンドメイドでは、同じ形を作る時にどうしても形にバラつきが出てしまいます。例えば、左右非対象に仕上げると動き等が安定しない原因になる。3Dプリンターなら、ルアーのボディを機械で成形することができるため、遥かに安定した品質に仕上がります。



■そもそも、3Dプリンターを使うにいたったキッカケは?

K:ちょうど1年ほど前でしょうか。テレビで毎日のように3Dプリンターが話題にのぼり、今後のものづくりを変えると言われていました。一家に一台3Dプリンターが普及するなどとも言われていて、昔からものづくりをしてきた私にとって、とても興味のある出来事だったんです。


「よく飛ぶ・よく動く・よく釣れる」をテーマに製作された、ブラックバス用ルアー。
リミックス可能なプロダクトとして、rinkakに出品されているもの。



■実際に使い始めて実感した、注意点というか気遣うべき点は何でしょう。

K:3Dプリンターは直線的なものづくりには強い印象ですが、曲線を用いるとあまりうまくいかない。扱う3Dプリンターの特性を理解して、極力、複雑な形にならないよう、シンプルなデータを心がけて創作に当たっています。

具体的には、ボディの形状から無駄を省いています。市販されているルアーは、見た目も本物の魚そっくりに作られていますよね。あれは、「私たちから見ても本物にそっくりなルアー=良く釣れるルアー」だという考え方がベースになっていると思うんです。人間の目で見て本物なら、魚も簡単に騙されるだろうと。

ですが実際に本物そっくりなルアーを使ってみても、簡単に釣れるわけじゃありません。なぜ釣れないのか。それは魚が見た目だけでエサだと判断しているわけじゃないから。

だから私は、ボディの形状やルアーの顔部分を本物そっくりにしようとはしていません。あまり重要だとは思っていないんです。その分、シンプルにすることができ、合理的なものづくりを行えています。ルアーに必要な要素だけを詰め込む事ができるんです。





■rinkakを利用するようになったのはなぜでしょう?

K:自分がほしいと思う物だけを作っていたのですが、次第に考え方が変わり、誰かがほしがる物、必要とされる物を作りたいと思うようになったからですね。rinkakなら、たくさんの方に見ていただけると思いました。



■kklureさんの出品作品、例えば「ルアー ポッパー」の紹介文などに「よく飛ぶ・よく動く・よく釣れる。」がテーマだと書かれているのは、そのためだったんですね。

K:自分だけがほしいルアーを作るとしたら、「よく飛ぶ」といった扱いやすさ、万能さは必要としません。でも、たくさんの釣り人が必要とする機能や特長を持たせたルアーを作りたい。釣りをする場所や状況も千差万別の中、的確なルアーを選ばなければ魚を釣ることは難しいので、優れたルアーを使う事が大事なんですね。それが「よく飛ぶ」といった機能をテーマにしている理由です。例えば、「よく飛ぶ」ルアーであれば遠くに泳ぐ、警戒心の低い魚を狙うことができます。たくさんの方に使っていただけるように、これからも心がけていきたい大切なことだと思っています。



■では、ご自身用にルアーを作るとしたら、どんな作品に仕上げたいですか?

K:人間で喩えるなら「かっこいい」「かわいい」ルアーです。魚は何に惹かれるのか、その要素を盛り込んだルアーを作りたいですね。



■ちなみに、kklureさんの使っているソフトを教えてください。

K:ライノセラス4.0を使っています。以前、他の3DCADソフトを使ったことがありますが、ルアーのような曲面の製作に不向きでした。ライノセラスは他と比べて安価にも関わらず、複雑な曲面も製作しやすい。実際、ライノセンスでルアーを製作しているメーカーもあり、適していると思います。






CREATOR PROFILE


kklure

技術職。機械や電気を扱う技術系の会社に勤める。電気関係の資格保有し、主に機械のメンテナンスを担当。rinkakでは、ルアーをはじめとした釣り具を創作する。今後、リールのハンドルや釣り雑貨も公開予定。
★kklureさんのrinkakショップはこちら★


INTEVIEWER


新井 優佑(あらい・ゆうすけ)

インタビュアー。7年の出版社勤務を経て、独立。町工場を取材する中、日本の零細企業や小規模事業者の創意工夫には、仕事を豊かにする根源的なリソースが満ちていることを実感。手仕事からFabまで、作家の試行錯誤を追う。趣味・インタビュー、特技・インタビュー。
Twitter・ar1ys1c、Facebook・arai1983




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